高美書店史料調査
高美書店史料について

高美書店は長野県松本市で現在営業している書店だが、寛政9(1797)年に初代高美屋甚三衛門常庸によって始められて以来、200年以上にわたって続いている書店であり、かつまた出版業も近世以来続けてきてもいる。
高美書店はまた、その書店の活動自体についての古くからの史料を蔵していることでも著名であり、近世の書店史料に関しては鈴木俊幸氏によってこれまでにも紹介されてきている。
ただ、明治以降の史料については、どういった史料をどの程度残っているかについては、これまで調査されてきてはいない。
参考となる文献
上条宏之『長野県近代出版文化の成立』(柳沢書苑、1986年8月)
鈴木俊幸『一九が町にやってきた』(高美書店、2001年1月)
鈴木俊幸『江戸の読書熱』(平凡社、2007年2月)
和田敦彦編『国定教科書はいかに売られたか』(ひつじ書房、2011年5月)
高美書店史料調査
2006年度より、主に信州大学の研究者が中心となって推進されることとなった研究プロジェクト「地域ブランドの手法による地域社会の活性化」のもと、「近代松本の出版文化についての基礎調査」(責任者・和田敦彦)をはじめた。その後、責任者の和田が早稲田大学に移ったが、同調査は早稲田大学の大学院生も加え、信州大学の協力のもとに継続している。高美書店の近代書店史料に関しては、主に以下の二つの事業を進めている。
・高美書店近代史料概要調査
・高美書店発送簿整理プロジェクト
高美書店近代史料概要調査
高美書店への調査にあたっては、2006年11月より、書店側と交渉に入り、保管されている近代史料、文書類について同書店の倉庫(松本市征矢野)への調査をはじめた。明治以降の同書店の史料がまとまって保管されていたため、明治期の文書類を含む16箱を、文書保存用の箱に移し替え、目録化する計画を立てた。12月に信州大学の学生を中心に倉庫で移し替えの作業にあたり、その後はそれら文書の目録化作業を同年度中に3回にわたって行った。この作業の目的は、詳細な1点1点のデータをとることにあるのではなく、主にどの時期の、どういった史料が、どこに、どれだけ含まれているか、という史料の概要を把握することにある。
2007年度中にも3、4回の調査を行い、信州大学の学生、教員の協力を得ながら、目録作成をすすめている。また、適宜書店側からの聞き取りを行い、系図作成や書店業務に関する情報収集もあわせて進めていった。2008年から2009年度までに文書の整理、概要調査については完了させる計画である。
『明治期書店文書 信州・高美書店の近代』刊行
これまでの高美書店資料調査をもとに、代表的な資料を撮影、目録化し、金沢文圃閣より「出版流通メディア資料集成(五)」として出版することとなった。2016年から2017年にかけて、6巻本の形で刊行。編集には和田敦彦・柿本真代・河内聡子・新藤雄介・田中祐介・中野綾子・西尾泰貴・森山祐子があたった。
金沢文圃閣サイト
高美書店発送簿整理プロジェクト
発送簿とは、概要調査の過程でまとまって発見された高美書店の発送簿のことを指す。これは明治43年12月から大正3年11月まで、30冊、総ページ数にして約5300ページ分にも及ぶ。この発送簿は、店から書籍や雑誌が持ち出される場合に記帳する帳簿である。顧客への販売であれ、出版元への返品であれ、店から書籍が出てゆく場合にはこの帳簿にまずタイトルや価格、数量が記載されることとなる。また、この発送簿は店から出てゆく雑誌も記載されるため、雑誌の出版元への返品簿をも兼ねることとなっている。
すなわち、この発送簿からは、どのような書籍が、どの範囲で、どれくらいの量動いたのかを詳細にたどることができる。地域における出版、流通を具体的にとらえるうえで、非常に有用、かつ貴重なデータとなる。ただ、この史料の翻刻、データ入力には、かなりの時間と労力がかかることが予想される。この作業にあたるのが、今回組織されたリテラシー史研究会発送簿整理班であり、早稲田大学の大学院生を中心に組織し、2007年4月より毎週集まって作業にあたることとした。
関連データ、ツール 近代史料概要調査目録作成マニュアル(pdf)
概要調査データ入力フォーマット(excel)
概要調査目録サンプル(pdf)
高美書店発送簿記入フォーマット(pdf)
高美書店発送簿データ入力フォーマット(excel)
発送簿入力規則
発送簿難読文字リスト (excel)
発送簿相手先リスト(excel)
高美書店史料について

高美書店は長野県松本市で現在営業している書店だが、寛政9(1797)年に初代高美屋甚三衛門常庸によって始められて以来、200年以上にわたって続いている書店であり、かつまた出版業も近世以来続けてきてもいる。
高美書店はまた、その書店の活動自体についての古くからの史料を蔵していることでも著名であり、近世の書店史料に関しては鈴木俊幸氏によってこれまでにも紹介されてきている。
ただ、明治以降の史料については、どういった史料をどの程度残っているかについては、これまで調査されてきてはいない。
参考となる文献
上条宏之『長野県近代出版文化の成立』(柳沢書苑、1986年8月)
鈴木俊幸『一九が町にやってきた』(高美書店、2001年1月)
鈴木俊幸『江戸の読書熱』(平凡社、2007年2月)
和田敦彦編『国定教科書はいかに売られたか』(ひつじ書房、2011年5月)
高美書店史料調査
2006年度より、主に信州大学の研究者が中心となって推進されることとなった研究プロジェクト「地域ブランドの手法による地域社会の活性化」のもと、「近代松本の出版文化についての基礎調査」(責任者・和田敦彦)をはじめた。その後、責任者の和田が早稲田大学に移ったが、同調査は早稲田大学の大学院生も加え、信州大学の協力のもとに継続している。高美書店の近代書店史料に関しては、主に以下の二つの事業を進めている。
・高美書店近代史料概要調査
・高美書店発送簿整理プロジェクト
高美書店近代史料概要調査
高美書店への調査にあたっては、2006年11月より、書店側と交渉に入り、保管されている近代史料、文書類について同書店の倉庫(松本市征矢野)への調査をはじめた。明治以降の同書店の史料がまとまって保管されていたため、明治期の文書類を含む16箱を、文書保存用の箱に移し替え、目録化する計画を立てた。12月に信州大学の学生を中心に倉庫で移し替えの作業にあたり、その後はそれら文書の目録化作業を同年度中に3回にわたって行った。この作業の目的は、詳細な1点1点のデータをとることにあるのではなく、主にどの時期の、どういった史料が、どこに、どれだけ含まれているか、という史料の概要を把握することにある。
2007年度中にも3、4回の調査を行い、信州大学の学生、教員の協力を得ながら、目録作成をすすめている。また、適宜書店側からの聞き取りを行い、系図作成や書店業務に関する情報収集もあわせて進めていった。2008年から2009年度までに文書の整理、概要調査については完了させる計画である。
『明治期書店文書 信州・高美書店の近代』刊行
これまでの高美書店資料調査をもとに、代表的な資料を撮影、目録化し、金沢文圃閣より「出版流通メディア資料集成(五)」として出版することとなった。2016年から2017年にかけて、6巻本の形で刊行。編集には和田敦彦・柿本真代・河内聡子・新藤雄介・田中祐介・中野綾子・西尾泰貴・森山祐子があたった。

高美書店発送簿整理プロジェクト
発送簿とは、概要調査の過程でまとまって発見された高美書店の発送簿のことを指す。これは明治43年12月から大正3年11月まで、30冊、総ページ数にして約5300ページ分にも及ぶ。この発送簿は、店から書籍や雑誌が持ち出される場合に記帳する帳簿である。顧客への販売であれ、出版元への返品であれ、店から書籍が出てゆく場合にはこの帳簿にまずタイトルや価格、数量が記載されることとなる。また、この発送簿は店から出てゆく雑誌も記載されるため、雑誌の出版元への返品簿をも兼ねることとなっている。
すなわち、この発送簿からは、どのような書籍が、どの範囲で、どれくらいの量動いたのかを詳細にたどることができる。地域における出版、流通を具体的にとらえるうえで、非常に有用、かつ貴重なデータとなる。ただ、この史料の翻刻、データ入力には、かなりの時間と労力がかかることが予想される。この作業にあたるのが、今回組織されたリテラシー史研究会発送簿整理班であり、早稲田大学の大学院生を中心に組織し、2007年4月より毎週集まって作業にあたることとした。
関連データ、ツール 近代史料概要調査目録作成マニュアル(pdf)
概要調査データ入力フォーマット(excel)
概要調査目録サンプル(pdf)
高美書店発送簿記入フォーマット(pdf)
高美書店発送簿データ入力フォーマット(excel)
発送簿入力規則
発送簿難読文字リスト (excel)
発送簿相手先リスト(excel)